30年前、アメリカの自動車業界の大社長たちは、世界トップの座が日本に取って代わられていることに急に気づき、長い間町をくまなく走り回っていたGMやフォードは、遠い国からやってきたトヨタや日産に家の軒先まで明け渡さなければならなかった。
もっとアメリカ人を驚かせたのは、日本の成功が安価な労働力や政府の補助によるものではなく、自発的な「効率化生産」によるもので、この再構築された業務フローは総コストを最高で90%も軽減するものだったことだ。アメリカ人は初めてトーマス·フリードマンが叙述していた真理が現実になったことを知った。「世界はもはや平らではない。東方は西方を越えた。」
現在の日本は、アメリカの来た道を通っている。
グローバル企業が勃興し、新興経済体はさまざまなルートから先進技術を学んでいく。このことで東アジア、東南アジアの産業チェーンにおいて、日本は技術提供者としての機能を大きく弱体化していった。全体的な技術レベルでは、日本と一定の格差が存在しているとしても、細分化された分野においては東アジアや東南アジア諸国、地域は日本の主導的地位をすでに脅かす存在になっている。
シンガポールは世界最大のHDDと電子部品製造地として発展している。韓国のサムソンは半導体及びデジタル消費財で世界的な技術を獲得した。中国台湾は世界最大のコンピュータと携帯電話のプリント基板生産地だ。
更に無視できないのは中国とインドの存在だ。日本製品を世界の全ての低価格帯市場から駆逐した後、中国はすでにハイエンド分野にも手を伸ばし始めている。TDは世界で通用している3Gや4G基準の後継となりつつあり、連続してここ数年世界で最も国際特許申請の多い企業となっている。インドは世界で有名なソフトの町であるバンガロールを擁しているだけでなく、自動車部品の生産能力でもすでに新しい段階に入っており、世界の自動車部品生産基地として有望視されている。
さらに、こうした東南アジア諸国の傑出した成果は安価な労働力と政府の補助によってのみ得られたものではなく、同様に広く知られているように「節約と刷新」によって起こってきたものである点が重要だ。これは一種のフローイノベーションであり、過去のフォードの制度と「効率化生産」と本質的な違いはない。これは製品の再構成と業務フローの中から不要なコストを削除する中で、市場が必要とする製品を最低価格で製造するということだからだ。