イギリス誌「エコノミスト」最新号は、米国のオバマ大統領やドイツのメルケル首相ら欧米の指導者は、財政赤字削減とユーロ危機の解決において決断を避け続け、そのやり方は「日本化している」と批判する巻頭記事を掲載した。表紙で、オバマ大統領は米ドルを象徴する緑色の着物を身につけ、メルケル首相はユーロのマークがついたかんざしを頭に挿している。記事は、「債務、デフォルト、麻痺した政治」で「日本の特徴」が明確になっているという見出しで、「判断力を欠いた政治家自身が問題の根源となり、その行為は経済後退に直接繋がった」と揶揄した。
記事は、政府に対する信用は債務を履行する能力の上で成り立つとしている。ここ数週間、西側諸国の国債の信用は大幅に低下し、欧州はギリシャをユーロ圏に残すことに全力で取り組み、米国は債務上限問題によってデフォルトの危機に立たされている。これは、「デフォルトの可能性がある米ドルを買うか、それとも解体の可能性があるユーロを買うか」という投資家の判断を難しくしている。
危機が深刻化するにつれて、西側の政治指導者が問題の一部となっている。彼らは決断を嫌がっている。オバマ大統領とメルケル首相のやり方は民意を導くのでなく、民意に従うというものだ。金融市場、新興国の指導者、銀行、さらに有権者までもがこれをよくわかっている。そのため、期待を低くした世間は、ユーロ圏加盟国が7月21日に合意した第2次ギリシャ支援にほっと一息ついたほどだった。
日本がバブル経済に入った20年前から、政治指導者は行動をできるだけ先延ばしにするようになった。長年続く政治麻痺の影響は、1980年代の経済過熱による影響を上回った。日本経済は低迷し、政府債務の対国内総生産(GDP)比は世界で最も高く、米国の2倍となっている。
記事は、「現在欧米がはまっている経済危機の泥沼は、20年前の日本のバブル崩壊の繰り返し」と警鐘を鳴らした。さらに、「日本の政治家の行動からわかるように、問題を先延ばしにすれば複雑になるだけだ」とし、解決に向けて早急に行動を起こすよう欧米の指導者に促した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年8月9日