漫画の中の「萌え」イメージ
ゆったりした制服を着て、目をキラキラさせた無邪気な女の子は「萌」系少女と呼ばれ、小さな物やかわいらしくユーモラスなセリフは「好萌!!(超萌え)」、「萌点(ちょい萌え)」、「被萌到(萌える)」と評される。日本語から広がった「萌」は中国の若者にとってなくてはならない流行語になった。
◇「萌」ははじめアニメオタクの間のスラングだった。
はじめ「萌え」は日本のアニメオタクの間のスラングで、「萌え」の対象はアニメの中の幼く、純真でかわいい、いわゆる「ロリータ」なキャラクターだった。彼女たちの特徴は、「まるで若葉が萌え出るように」愛くるしく、純真で可愛らしいこと、そして大きな目と制服、ミニスカート、ハイソックス、ウサギの耳のカチューシャなどだ。
その後、日本人の言う「萌え」の範囲は拡大していき、すべての美少女や美少年を表すイメージとなった。しかも、かわいい、格好いいに限らず、やんちゃさやお堅いイメージ、クールさ、さらには話し言葉に訛りがあること(特に関西弁)も“萌え”イメージの譜系に組み入れられていった。
最終的に、「萌え」は自分が好きなもの、はまっているもの、興奮するもの、執着したくなるものを形容する言葉として広く使われるようになった。日本社会に広まった「萌え文化」の対象は人や擬人化された動物や物で、それらはある種の“感情を燃え上がらせる”ようなものをもっている。
「萌え文化」は2003年頃、東京の秋葉原を中心に流行し始めた。2004年と2005年には「萌え」は流行語に選ばれ、日本の若者は「好き」「かわいい」「すばらしい」などの言葉を使わなくなり、すべて「萌え」と表現するようになった。
年長者たちは、「萌え」は本来、趣ある古来の日本語だったのに、今では「もっとも濫用されているスラング」になっており、正しい語法も何もなく、「萌え系」「萌えポイント」「萌え戦」など何でもありの派生語が生まれる“萌え語彙”には戸惑わされると不満をこぼしている。
「萌え文化」は日本人にとって生活のスパイスになっているという。ある意味でストレス解消に役立っており、日々の味気ないことやつらいことを「萌え」によって笑いに変えることができる。最近、日本のベテラン政治家の亀井静香が著書を出版したが、その帯には「亀井代表萌え~」とのコメントがあった。また、自衛隊までも新入隊員募集の広告に「萌え」を使用、自衛隊はもっとも“萌える”職場だと称している。ここからも日本における萌えブームを見て取れる。
◇「萌え」産業の経済効果
日本のお宅とアニメマニアはすでに「萌え文化」を徐々に社会の主流へと押し上げ、「萌え産業」「萌え商標」「萌え株」など言葉さえも出現するようになった。大量の「萌え」系漫画、雑誌は低迷する日本の出版業界に莫大な利益を生み出した。
中小企業が先を争って「萌え産業」に投資しただけではなく、日本中の観光地が我先にと「萌え」と観光を密接に結びつけ、「萌え寺」、「萌え神社」などが雨後の竹の子のごとく出現した。そのほか、日本の大手電機メーカーは現在「萌え家電」を開発しており、テレビ、扇風機、エアコン、ステレオを擬人化し、“ご主人様”は家に着けばすぐに濃厚な愛情を感じることができる。ある統計によれば、日本の「萌え市場」はすでに888億円規模に達しているという。またある専門家によれば、「萌え」市場の総規模は数兆円に達しているという。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年9月4日