日本の産業技術研究所は31日、同研究所が開発した新技術が、土壌中の放射性セシウムを含むすべてのセシウム元素類を取り除くことができると発表した。
発表によれば、東日本大震災により引き起こされた放射性物質漏えい事故により、原子力発電所周辺の多くの場所が放射性セシウムにより汚染され、大量の汚染された土壌の処理が大きな問題となっている。これまでは高濃度の酸を利用して土壌中の放射性セシウムを取り出すことができていたが、吸着回収質が低く、コストも高いなどの欠点があった。
このことから、産業技術総合研究所の川本徹氏らは、低濃度の酸の水溶液を用いてセシウムを除去することを試みた。彼らは1リットル当たり0.5モルの濃度の硝酸水溶液を土壌の200倍の量注入し、摂氏95度で45分間加熱したところ、土壌中の60%のセシウムイオンを溶液中に抽出した。もしも摂氏200度まで加圧し、熱を加えれば、ほとんどのセシウムイオンを抽出することができる。
続けて、土壌の重量の150分の1のプルシアンブルーナノ粒子吸着材を溶液に加え、セシウムイオンの吸着回収に成功した。水溶液は処理して何度も使用することができる。
低濃度の硫酸水溶液を硝酸水溶液の代わりに用いても類似の効果が得られる。実用の観点から言えば、硝酸を用いるか硫酸を用いるかは、容器の属性などシステム上の条件によって決められる。
研究中に使用したのは非放射性のセシウムだが、セシウムの同位元素の化学的性質は同じであることから、この新技術は放射性セシウムの除去にも適用することができる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年9月4日