伝統芸術の力と京劇の成功
グローバル化の時代に突入してもなお、「民族的才是世界的(民族的なものこそ、世界に通用する普遍性をもつ)」という言葉は残っているように思う。京劇が日本でうける理由はたくさんある。現在明治大学の講師で元京劇俳優の魯大鳴氏は次の2点が重要だと語った。一つは京劇が表現する各種の「美」、愛する心や美しいと感じる心は世界共通である。京劇をみた日本人にとって最も印象的なのは、綺麗な衣装と神秘的な化粧。また、日本の歌舞伎に似ていることにも、日本人は親近感を感じるという。もう一つは、京劇の表現力。歌や踊りのほか、劇の内容も万国共通の人情を再現している。
魯大鳴氏の授業で最も人気なのが、後期に行われる体験学習である。学生は化粧をし、衣装をきて、実際に京劇を演じる。中国の京劇は伝統的である一方で親しみやすい。また、民族的でありながら、世界の典型的な芸術性を持っている。これこそが京劇が海外で生き残れる理由なのだろう。