善であれ悪であれ、妖怪は本質的に、人間の心理の働きを反映しており、現実生活における一種の幻覚といえよう。水木しげる氏は、小さい頃から、死後の世界についてさまざまな想像をめぐらしていたという。その豊かな想像力から、ヒット作が生まれた。ある群体の認知と想像が、現実生活と有機的に結び付くと、長い歴史の流れで綿々と受け継がれ、次第に一種独特の文化として成熟していく。
日本人研究者の分析考察によると、日本の妖怪史は大きく分けて3段階に分かれるという。初期の妖怪は、河童や天狗など、自然界や動物に対する人間の畏敬の念から生まれた。その後、人工製品の登場に伴い、人々はそれらの製品にも魂があると感じ、道具類から生まれた妖怪が誕生した。有名な「百鬼夜行絵巻」には、さまざまな廃品が妖怪になり、不満な顔をして街頭を練り歩く様子が描かれている。第3段階になると、日本社会はいっそう成熟し、人間関係が日常生活の重要要素となり、人間から変化した妖怪が主流となった。
日本の妖怪文化の発展は、日本史の変遷とも深い関連性がある。大きな社会変動が起こる時期には決まって、妖怪にまつわるさまざまな伝説がブームになった。妖怪は、人々にとって、先々の運命に関する不安や恐れのシンボルとしての役割を持つようになった。このような観点から見ると、日本に現れた「妖怪ブーム」は、よりユニークになったレジャー文化の反映である一方、不確かな未来に対する日本人の不安定な気持ちも示している。
「人民網日本語版」2011年11月18日