資料写真:「給食」の献立
仕事の都合により、去年、日本に一家ごと引っ越すことになった。来たばかり頃、何もかもがとても新鮮に映った。特に印象的だったのは何と言っても日本の「食育」である。香港紙『大公報』が伝えた。
日本の学校ではお昼に給食が出される。実は私はこれを少し危惧していた。うちの息子は偏食な上、きちんと食卓につかず遊びながら食べるという状態が常習化していたからだ。息子は学校の給食をちゃんと食べるだろうか?口に合うだろうか?自分で準備や後片付けができるだろうか?と心配は尽きなかった。だが郷に入りては郷に従え、だ。他に選択肢はなく、息子は学校で給食をとることになった。ある日、出張から家に帰ると時刻はちょうど正午であった。突然、息子が学校で給食を食べている様子をみたいと思い立った。
そこで、担任教諭の許可を得た後、私は学校に向かった。白い給食衣に給食キャップを身に付けた当番の児童達が並んでいるのが遠目に見えた。配膳室から順番に給食を受け取り、教室まで運んでいる。教室の中をのぞくと、子ども達がきちんと一列に並んで給食を配られるのを待っている。盛り付けられた食べ物を持って席に戻り給食トレイの上に並べる。食べる前、子ども達はじっと給食を見つめ、手を合わせ、「いただきます」と言った後、箸を持って食べ始めた。
資料写真
自分の息子は、というと、他の子どもと同様に、担任教諭が見守る中、自分の給食を旨そうに食べている。メニューは、ご飯、肉と野菜のおかずが2品、豆腐の味噌汁、牛乳、果物だ。給食は栄養バランスに優れ、色の組合せも見事で、食欲がそそられる。日本人は薄味の食事を好むため、学校給食でもこうした食習慣をきちんと取り入れているらしい。担任教諭によると、この小学校では全校生徒の給食を管理する栄養士がいて、少食、偏食、肥満児童に個別指導もしてくれるという。給食の時間になると、その栄養士はよく子ども達に、「サラダの黄色や赤の色使いが秋の紅葉みたいでしょう?」「カットされた果物一つ一つが岸辺の小舟みたいですね」などと教え諭し、子ども達の啓発を促すという。