アンケート調査の結果は良いものではなかったが、彼らの正直な気持ちを知ることができたのだから、私にとっては価値あるものである。私は、たった1回の講演で、同世代の日本人の考えを変えようとも、中国を好きになってもらおうとも思わなかった。ただ、みんなの考える中国が一側面でしかないことをできる限り伝えたいと思った。他の国と同様に、中国には良いところもあれば悪いところもある。私は、自分の提供する事実を通じて、みんなに本当の中国を見つめてもらいたかった。そしてみんなに再考してもらいたかった。
講演は午後1時に始まった。私は先生と教室に行った。昼休みを終えたばかりの学生たちは、どこか眠たそうだった。事前に準備していたA、Bのアンケート用紙を学生たちに配った。授業の前後で、中国に対する印象や考えを書いてもらう。つまり今回の直接交流を通じて、彼らの考え方がどれほど変わるのかを知りたかったのである。多くの学生たちは、隠すことなく好奇な目を私に向けた。その目つきは、まるでこの中国娘が日本の若者とどう違うのかを探しているかのようだった。特に大きな差がないことが分かり、さらに好奇心を抱いたようだった。
私は、まず自分のことについて語った。国内外の多くの「80後」(80年代生まれ)と同様にアニメを見ながら育ったこと。縁遠かった日本に対していかに興味を持ち、日本語を勉強するようになったのか、などだ。日本に留学して日本文化に直接触れるようになった話のくだりで、日本の学生の目に親近感が生まれてきているのが分かった。彼らは私が、想像していた「反日教育」で成長してきた「愛国青年」ではないことに気付いたのだ。当初硬い雰囲気だった教室は、徐々に打ち解けたものになった。誰もが私が話す内容に多少は興味を持ったようだった。
そして、私は率直に語ることにした。
日本人は、他の国の人と同様に、当然のように日本的な思考で思考している。日本的な価値観で判断し、日本の文化に対して根拠のない優越感を持っている。一人の中国人として、日本に来て感じた文化的差異が想像以上に大きかったことだけでなく、当然ながら中国人の観点と思考で日本を感じてきたと述べた。