現在1億2800万人の日本の人口は今後毎年20-100万人減少し、半世紀後には8674万人になる。これは厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が1月30日に公表した「将来推計人口」の数字だ。(文:陳言・日本企業研究院執行院長/日本問題のコラムニスト)
日本経済が長期低迷から抜け出せない原因として、1990年代のバブル経済崩壊の影響以外に、少子高齢化が挙げられる。
■人口減少が始まった
社会生活全体が豊かになると、老後に備えて子どもを産み育てる意味が薄れ、出生率が低下する。これは豊かになった国全てに共通の現象だ。日本は世界的にも豊かな国であり、出生率の低下自体は自然なことだ。だが日本の場合、その「少子化」がかつての高度経済成長と同様、あまりにも急速に進行している。0-14歳の子どもは2060年には、現在の半分足らずのわずか719万人となり、人口全体に占める割合も1割を切ると推計される。
女性が生涯に産む子どもの平均数は現在1.35人だが、人口減少を食い止めるには少なくとも2.07人にまで引き上げる必要がある。だがこの数字の達成は、現在においても将来においても困難だ。
まず、日本では晩婚が極めて一般的になっている。男性の初婚年齢は1980年の27.8歳から2009年には30.4歳に上昇、女性は25.1歳から28.6歳に上昇した。近年では35歳以上で第1子を産む高齢出産が増加傾向にある。晩婚と高齢出産によって自ずと出生率は低下する。
また、失業率が高まり、サービス業が余る中、幼稚園や保育園の数だけは絶対的な不足が続いている。国の認可した幼稚園や保育園は数が限られ、費用が高く、託児時間も短い。大多数の幼稚園は午後3時までなので、働く女性が仕事に専念するのは難しい。企業側の配慮も決して十分ではない。しかも中国と異なり日本は核家族化が進んでいるので、祖父母が孫の世話をするケースも一般的でなく、育児のプレッシャーは若い夫婦に全てのしかかる。産児制限をせずとも、日本女性が生涯に生む子どもの平均数は1.35人。今後いくらかは増加しても、2.07人を上回ることはあり得ない。日本の人口減少はすでに不可逆的だ。人口の急減によって既存の生産能力は大量に余り、社会的には慢性的な経済低迷となって現れる。