奥井禮喜氏:日本の現下の気風

奥井禮喜氏:日本の現下の気風。危機感の煽動は社会的フラストレーションを招く。情動的緊張が高まって冷静な論議にならない。結論を急ぎ過ぎるのが昔から日本人的欠点だが、これまた思考停止を招く。当時はバブル経済だった。今は違う。「一体改革」を大声疾呼するだけでは議論が深まらない。自民党だけが財政危機を作ったと言わないとしても最大の責任があるのは間違いない…

タグ:財政 危機 バブル 社会保障 所得税

発信時間:2012-02-14 11:30:19 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

文=奥井禮喜

調子のいいときは誰でもご機嫌だ。しかし森羅万象移ろうて停止せず。思うように行かないのもまた至極当然。恰好つけさせてもらうならば、苦境で面白くないときこそ人格が問われるのでありまして。

昔からわが民族は言葉遊び、駄洒落には調子よく力量発揮したが、輸入品的ユーモアとなるとあまり得意ではない模様だ。なりゆきで報道なども一本調子の危機感が煽られる。

なにしろ似たような報道をするのだから、衆目を集めようとすれば驚かすのが手っ取り早い。それに深刻なポーズのほうが熟慮していると思われやすいかもしれない。

ただいま深刻な話題には事欠かない。いわく財政危機、いわく社会保障を再生させよ、いわく貿易赤字をどうするんだなどなど枚挙にいとまがない。もちろんあれもこれも容易ならざる問題には違いない。

たとえば財政危機、敗戦後のどさくさから立ち上がった1960年代まではわが国は立派な健全財政であった。1965年に赤字国債2000億円発行したが、民間金融機関が引き受けた。

赤字国債は発行しないという決まりであった。その抜け穴が建設国債で、建設だから赤字国債ではないとしたが、本質は赤字国債だという正論も唱えられていた。公共投資大盤振る舞いの時代であった。

所得税と法人税中心の税制だから所得弾力性が大きい。じゃんじゃん投資して景気を煽れば税収は上がる。加えて財政投融資という別財布もあった。まさに野放図に財政膨張をさせたのである。

赤字財政は1975年度から深刻になった。本質は深刻なのだが、なにしろ勢いがついていて前述のような事情であり、幸か不幸か経済は右肩上がりである。誰も本気で財政危機を解決しようとしなかった。

1988年度には、わが国債残高がGNPに占める比率は52%、英国47%、米国41%、西独21%、仏10%と、すでに世界トップに上っていた。1981年度予算以来財政再建を目標として、1984年度に赤字国債をゼロにする計画だったが達成できなかった。

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