三重大学は先ごろ、「最後の忍者」と呼ばれる福井県の川上仁一さんを社会連携研究センターの特任教授に任命した。
「忍者、寿司、芸者」は今や、世界の共通語になっているが、本物の忍者はもう現代にはいない。伊賀流忍者博物館の名誉館長である川上仁一氏(62歳)は「自分は『忍者の町』として有名なここ三重県伊賀などの地域復興に努めるだけでなく、様々な研究活動を通して日本の『忍者文化』を海外にもっと伝えていきたい」と話す。
歴史を振り返ると、日本の忍者は身分が高い武士ではなく百姓出身が多いようだ。しかし、武士も忍者も同様に代々伝えられているおきてを遵守する。忍者の場合はそれが「忍術」だ。忍者が忍術を身に着けるのは、力で暴力と破壊の頂点に上り詰めたいからではなく、周りの環境への適応能力を養うためである。真の忍者になりたければ、苦しい修行に耐え、修練を積まなければいけない。
「忍者文化」は、日本の文化と深い繋がりがあり、重要な一部である。しかし、一方では文明と科学技術が発達するにつれ、「臨、兵、闘、者、皆、陣、裂、在、前((リン、ピョウ、トウ、シャ、カイ、ジン、レツ、ザイ、ゼン))」の九字の呪文を信じてきた忍者たちは、今の世の中からは消えてしまっている。「忍者文化」はマンガや映画でしか見る事ができず、「忍者の精神」はどんどん色あせている。現代の若者を取り巻く環境は個人や流行やアイデンティティーを重視する。世の中にはお金目当てで援助交際をする中学生、消極的で軟弱な「草食系男子」、行動やしぐさが女性のような「乙女系男子」など、どこを探しても「忍者の精神」は見当たらない。
このような状況の日本で、「忍者文化」や「忍者精神」を復活させる事は大きな価値がある。例えば、忍者は自身の使命に忠実で、到底困難だと思われる任務に対しても諦めずにやり遂げる。他にも、忍者の仲間に対する忠誠心はなにものとも比べようがない。どんな屈辱も彼らの心をくじくことはできない。彼らはいつでも冷静で、冴えており、周辺の状況を全て把握しているのだ。
もちろん、「忍者文化」や「忍者精神」を取り戻すのは一朝一夕でできることではない。川上氏は「忍者は生き延びるための知識の集大成である。私も最後までやり遂げ、現代の社会でも忍者の精神が生き延びていけるように努力したい。しかし、思いと現実にはやはり一定の距離があるようだ」と語る。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年2月14日