次に紹介するのは「車を売ったら、樹を植えよう」。友人と一緒に賑やかな東京の街を歩くのは、とても心地よい。友人は、道路わきに植えられている多くの樹はホンダが植林したものであると教えてくれた。数年前、ホンダのCEOが車で外出した際、道路でアリの大群のようにひしめき合う自動車を目の当たりにして、ふと考えたそうだ。「自動車メーカーが何も考えずに車を生産し、販売していたら、自動車の排気ガスは空気を益々汚染し、都市の環境を壊し、人々の大きな不満をもたらすことになる」。
このような考えから彼の心には後ろめたさが広がり、ひどく自責の念に駆られた。真剣に考えた結果、毎年車を一台売るごとに、街に樹を一本植えることを決意したという。そこから、ホンダは車を販売した利益の一部を植林活動に充てるようになり、都市の美化のために使うようになった。なんと素晴らしい考え方なのだろうと感心した。社会的な責任感を持っている企業があることは、社会全体にとっても幸せなことだ。