人それぞれ楽しみは違うが、私の楽しみは食事だ。日中は動き回っているので、アンパン一つで簡単に済ませてしまうことも多く、それほどこだわりも無いが、夕食がおいしいとその日一日がとても幸せだったと思える。かといって、高級なものや山海の珍味を求めて食べるわけでもない。安く簡単なものでも、自分が満足できればそれでいい。(西川芳樹さん 福井県立大学・大手前大学非常勤講師)
2008年9月から2010年1月までの期間、上海で留学することが決まり、一番心配したことは食べ物のことだ。おいしいものを食べられるかどうかで、留学の楽しさが変わるからだ。到着してからしばらくは、あちこちの店を回り、おいしい料理を探した。そして、いくつか気に入る料理に巡り会えた。ベストスリーは回鍋肉蓋飯、羊肉串、地三鮮。どれも甲乙付けがたい。特に回鍋肉蓋飯は近所においしい店があり、しかも一食7元というお手頃な価格も手伝い、二日に一回は食べに行った。
ただ、中国の料理屋は何人かで食べるのに適しているように思える。もちろん、一人で食べる店も知っているが、回鍋肉の店は複数で食べに行くような店だった。毎日、誰か食事の相手を探すのは難しいし、周りが楽しそうに会話している中、一人で食事をするのは寂しいので、テイクアウトすることが多かった。日本にはファーストフードを除いて、大部分の店では料理を持って帰ることはできない。注文して食べきれなかったものも、持って帰れない。「もったいない」を世界中に発信した国なのに、食べ残した食事は店に残したまま帰る。
テイクアウトできることは本当に便利だ。だれか日本でこのサービスを打ち出した店を作ってくれないだろうか。そして、日本にもテイクアウトの文化を定着させてほしいものだ。多くの中国企業が日本のサービスを学んでいるが、日本の外食産業も中国のサービスを学んでほしい。中国にも海外に輸出できるサービスはたくさんあると思った。
「新華網日本語」より2012年4月25日