私が日本常駐記者になってから7年余りで、すでに小泉、安倍、福田、麻生、鳩山、菅、野田と7人の首相が誕生した。毎年春と夏の変わり目、暑くなり始める頃には、今年は誰が次の首相に就任するのかを推測するのが習慣になっている。だが今年のように推測が難しいのは初めてだ。当初は今年は内政がやや落ち着き、野田首相は比較的「長命」の首相になると思っていた。だが最近の一連の兆候を見ると、まさか今年も首相が交代するのかとの思いを禁じ得ない。(光明日報)
日本の政界は大小の政党が林立し、分裂と連携が絶えない。政界のボス達は頻繁に接触し、首相や大臣は走馬燈のように入れ替わる。日本の政治は予測困難との声が多い。日本人自身も「一寸先は闇」と認めている。だが社会の大勢を見極めれば、政治の行方を予測するのも難しくはない。2006年の小泉首相引退時、日本国民の対中感情は悪化し、朝鮮への敵意に満ちていた。こうした背景の下、強硬に見える保守派の政治家、安倍氏が後を引き継いだのは理にかなった事だった。ただ安倍氏も就任後は中日関係発展の大勢に逆らえず、すぐに北京を訪れて膠着局面の打破を図った。安倍氏の強みは朝鮮に対する強硬姿勢だったが、その任期中に米国が朝鮮に対する「テロ支援国家」指定を解除したのは想定外だった。このことで安倍氏の後任には穏健外交の福田氏がおさまった。自民党長期政権のもたらした内政問題の山積に日本国民は飽き飽きし、不満を抱いていた。このため09年の衆院総選挙で民主党が政権を奪取したのも理にかなっていた。民主党の創設者である鳩山氏と菅氏が相次いで首相に就任したのも全く理の当然だった。昨年の民主党代表(つまり日本の首相)選挙時にやや気がかりな点はあったものの、私はずっと風采の上がらぬ野田氏を有望視していた。
この選挙で有力候補とされたは前原誠司元外相と海江田万里経済産業相だった。両氏共に風采が堂々としており、前原氏は党内権力の主流派、海江田氏は党内最大勢力・小沢派の大きな力添えを得ていた。だが前原氏は若手政治家の代表と目されていたものの、言葉だけで行動が伴わないとの印象を早くから人々に与えていた。海江田氏を支持する小沢派は勢力は小さくないものの、小沢氏の訴訟問題などでイメージが悪く、勝利は難しかった。両氏と比べ、野田氏は見た目こそ普通だったが、その控え目で実務的な姿勢が大災害に見舞われたばかりの日本にはうってつけだった。このため野田氏が首相に選出されたのも意外な事ではなかった。
野田首相の年内退陣はないと私が信じてきたのには2つの理由がある。1つは、日本各界の上層部や一般の国民が近年来の不安定な政局にうんざりし、安定政権の登場を望んでいること。もう1つは、鳩山氏と菅氏は消沈して辞任したばかり、もう1人のボスである小沢氏も政治資金問題の訴訟中で、党内に野田氏を脅かし得る人物は当面いないからだ。だが最近、この2点共に変化が生じた。共同通信が29日に発表した最新の世論調査によると、野田内閣の支持率は昨年9月の発足後最低の26.4%にまで下落した。日本は典型的な世論調査政治国家であり、政治家にとって支持率はある意味において命だ。最近の内閣支持率の持続的な低下は、野田首相を見限る国民がどんどん増えていることを示している。野田首相にとってさらに致命的なのは、東京地裁が26日、政治資金規正法違反で起訴された小沢氏に無罪判決を言い渡したことだ。小沢氏は野田首相の消費税引き上げ政策に強く反対し続けているが、これまでは被告人の立場であったため公に対決することはなかった。無罪判決を勝ち取った今では、目立たないようにし続ける理由はなくなったのだ。
年年歳歳花あい似たり、歳歳年年人同じからず。大自然の季節がまた巡り始めた今、誰が日本の次の首相になるかを推測すべき時も訪れたようだ。
「人民網日本語版」2012年5月3日