最近、日本の政局が再び混乱している。先月末に元民主党代表の小沢一郎氏が「消費税増税法案」を理由に突然野田佳彦首相と反目し、部下を率いて出て行った。最近また、「除籍」に不満な小沢氏が新党結成を国会に届け出たとの情報が伝わってきた。新党の立ち上げは7月11日になるという。(文:鄭興、郭沖。人民日報海外版掲載)
■表象:混乱は進行中
自らのグループを率いて憤然と出て行った小沢氏だが、増税法案の可決を阻止することはできなかった。だが日本の評論家は「今回の破壊行為は3年間続いた民主党政権を一夜にして潰滅させるに等しい」と指摘する。小沢氏の行動によって日本の政局に再び暗雲が立ちこめ始めた。
日本は外交面でも難を免れずにいる。先月末にロシアが「技術的にも経済的にも合理的でない」として日本向け天然ガスパイプライン構想を放棄した。この騒ぎがまだ収まらぬ3日、ロシアのメドベージェフ首相が北方四島の国後島を視察し、この地域に対する実効支配を誇示した。この行動に日本国内は騒然とし、日本政府は「許し難い暴挙」と表現した。だが、それでも日本にはロシアに実際に干渉するすべはない。
このほか日本国内では釣魚島(日本名・尖閣諸島)をめぐる騒ぎも激しさを増している。今年4月以降、東京都知事の石原慎太郎は「東京都が釣魚島を購入する」とわめき続けている。これについて野田政権は態度を明確にしてこなかったが、最近になって釣魚島国有化の方針を表明し、石原と共に「島購入」の茶番に頭を突っ込み始めた。
■根源:根本的原因は経済
日本の混乱は一夜にして形成されたものではない。その根源を突き止めると、経済の持続的低迷こそが混乱をもたらした根本的原因だ。
プラザ合意以来、高齢化やデフレが経済成長を著しく妨げたと評論家は指摘する。人口問題は解決が難しく、金融政策措置は限られている。日本はすでに増税しようとしまいと経済状況の転換は困難というジレンマに陥っている。近年日本の政局は混迷し続けており、首相の頻繁な交代という宿命を脱せずにいる。首相がいかに「短命」で、与党がどう再編されようとも、経済問題は未解決のままだ。また、たとえ経済情勢が少し好転しても、円高や米国に利益の一部を持って行かれる不運からは免れがたい。
日本政府が政策面で自立していないことも混迷の原因の1つだと指摘するメディアもある。当初民主党は独立した一派を形成して組閣に成功し、政策の自立とアジア回帰を旗印に掲げた。だが今や経済問題が解決されない中、野田内閣は親米という自民党の古い道に戻らざるを得なくなっている。小沢氏は民主党の「後退」に明らかに不満を抱いている。
だが党を分裂させて権謀術数を弄し続けるだけでは、民衆の支持を得られるとは限らない。国内の経済問題を根絶するすべがない中、権力の座にいる者は外交問題で頻繁に行動を起こすほかない。日本政府が大げさに騒ぎ立てる釣魚島問題や北方四島問題は、いずれも民衆の注意をそらし、経済政策の無能さを覆い隠すための表看板に過ぎない。
■展望:自立と善隣
経済問題と政治の混迷は互いに因果関係にある。日本政府の経済政策の力不足、政策の自立性の欠如が、現在の政局の混乱をもたらしたのだ。野田政権が早期衆院解散・総選挙の強い圧力に耐えることは難しい。小沢新党はまだ明らかに勢力が弱く孤立しており、有権者から有望視されていない。政界は派閥が乱立し、各党が争い合っている。日本に真に必要なものが、経済状況の全面的な転換と独立した政策決定のできる政党であることは明らかだ。
「親米は日本にとって良い選択というわけではない」とある専門家は指摘する。現在、新興の発展市場としてアジアの台頭が世界的に注目されている。日本にとって領土問題を利用して紛争を引き起こすことは決して賢明なことではない。アジア太平洋諸国との善隣友好、協力強化こそが大きな流れなのだ。
「人民網日本語版」2012年7月10日