民族主義は一般的に右翼民族主義と左翼民族主義に分けられる。1960年代には中日で左翼民族主義的ムードが生じた。当時日本では日本共産党と社会党をトップに大規模な反米運動が推し進められ、中国も打倒アメリカ帝国主義のスローガンを叫びながら過ごしていた。当時中国は日本を含むアジア諸国民と連携し、共に米国の影響を阻止することを重視していた。言い換えるなら、当時の民族主義には他の国々との団結を重視するインターナショナリズムの要素があったのだ。
だが現在日本で生じている民族主義は排外的で、中国の発展に警戒し、領土問題では決して譲歩しないというものだ。日本国内の右傾化は日に日に顕著になっている。これには2つの原因がある。第1に、民主党が鳩山政権期のアジア重視政策による日米関係破壊の教訓を汲み取り、日米関係の発展を柱とする外交政策を採用したこと。これによって日本国内に親米民族主義的ムードが充満するようになった。第2に左翼政党の影響力が低下し、保守勢力の力に対抗できなくなったこと。こうした情況の下、保守主義的思想の政治家や専門家が影響力を持ち、強硬な論調が優勢になっている。こうした強行的論調は「愛国主義」という言葉をしばしば持ち出す。筆者は愛国主義は偏狭な民族主義とイコールではないと考える。狭隘な民族主義は排外主義の要素を持つ。こうした思想の蔓延は容易に隣国との関係を破壊し、暴力的衝突などの結果を引き起こす。
かつてある左翼学者は「インターナショナリズムなき民族主義は、排外主義的な民族主義に容易に変容する」と指摘した。中日双方は今、インターナショナリズムを発揮すべきだ。過去のインターナショナリズムは革命運動を支援するものだった。だが現在は戦争と革命の時代ではなく、平和的発展の時代であり、具体的内容も支援や協力に変えるべきだ。中日両国は経済関係が緊密で、日本の経済活動は中国から切り離せない。文化や環境保護の分野でも協力の余地がある。中日両国は偏狭な民族主義を抑制し、新たな時代のインターナショナリズムを発揮し、「係争は棚上げして、共同開発する」方針を堅持し、両国の長期的利益に着眼しなければならない。
「人民網日本語版」2012年9月5日