次に、政治面の「中上日下」だ。中国は政治の開放度と民衆の参与度の高まりに伴い、外交や中日関係に関わる政策で民意の強い制約を受けるようになっている。一方、日本では社会の消極的な保守化傾向が助長している。こうした日本の保守化傾向は過激な言動をするのは少数のみだが、その社会思潮は日本各界で賛同や黙認が広がり、日本メディアは全面的に右傾化している。こうした日本社会に深く根差した「消極的な保守型の大国化」への要求と、中国の「積極的な開放型の大国化」の実践が衝突し、政府の政治・外交レベルだけに限らず、民間に対してもその影響が侵蝕してきている。
日本が第二次大戦の歴史の結論を否定し、再び軍事化へ向かううえで、最大かつ最も直接的なライバルは中国だ。日本にできるのは中国のイメージを悪くし、「中国は米国の脅威」との世論を形成し、米国に中国の大国化を受け入れるか日本の軍事化を容認するかの選択を迫り、時には米国の駒になることすら辞さないことだ。ここには3つの問題がある。中日の大国化における衝突、中米のグローバル化における駆け引き、中日米3カ国関係と世界および地域の平和的発展の潮流の融合だ。だがこうした状態は段階的な「陣痛」に過ぎない。われわれは小事のために大事を失し、「陣痛」に惑わされて大局を顧みないことも、過度に楽観視して油断することもならない。
上の世代の指導者の英明さは4点に帰納できる。人民外交の理念、戦略・大局的視野、係争棚上げの知恵、未来志向の度量だ。今日持ち上がっている新たな試練も、この4点によって対応できる。ただ最近日本は猛攻勢をかけており、「衝突に向き合う勇気」を加える必要がある。すでに中国は東アジア地域および中日関係の大局を主導する大国としての資質と能力を備えている。これは中国の歴史的な能動性、地政学的な包括性、総合国力、および衝突に向き合う勇気によって決定される。中国が自ら負うべき責任を他に担わせるわけにはいかない。
「人民網日本語版」2012年10月12日