第二に、中国の台頭をめぐるアメリカ国内での議論が多様であることを、日本は無視している。「中国脅威論」がアメリカ全土に広がっていると考えると、戦略を誤ることになる。一方的な願望からなのか、偏向報道によるものなのかは分からないが、日本の知識人や世論は「中国は脅威である」という一辺倒な考えに固執しており、彼らはアメリカの対中認識も日本と同じだと考えている。実際は、アメリカ世論の中国の発展に対する認識は多様である。「中国脅威論」を信じる人はむしろ少数派だ。オバマ政権は「アジア回帰」を強く訴えており、太平洋パートナーシップ協議(TPP)の交渉を進めると同時に、中米の高レベル官僚による戦略と経済の話し合いを極めて重視している。まさにアメリカの対中観の多様性を体現したものである。冷戦中、アメリカの戦略家たちは膨大な抑止理論をまとめたが、後に、ソ連の脅威を誇大認識していたことを歴史が証明することになった。それらが無用だっただけでなく、自身の安全を強化するのに何ら役に立つものでもなかった。アメリカの戦略家たちが今日の中国を見るとき、これらの教訓を踏まえないわけがない。一方、戦後一貫して戦略に欠け、思考の訓練に欠けた日本は容易に感情的になり、アメリカの対中警戒やその準備に対して過大評価し過ぎている。そしてアメリカの対中協力への意志は過小評価し過ぎているのである。日本のこの態度こそ、中国に対するマイナスイメージを強化している要因である。このような状況では、間違った判断や決定がされやすくなってしまう。
第三に、日本は対中関係に対し、過度にアメリカに依存している。長期的な対中関係の構築を先延ばししたり、回避したりすれば、これまで中国と培ってきた長い戦略的関係が失われるだけでなく、アメリカの信頼をも失われることになるだろう。日本は、台頭してきた中国の挑戦に応えるため、過去10年間に日米同盟を強化してきた。自由主義諸国連合を作り、ヨーロッパとアジアをつなげる「自由繁栄の弧」を構築するなどしてきた。これらの外交行為は、すべて中国をターゲットとしたものである。しかし日本に唯一欠けているものが、まさに対中外交の長期戦略である。上述した日本の外交行為は短期的には「安心感」がある。しかし中日関係の長期戦略の策定を日本が永遠に回避することはできない。逆に中米関係は、「新しい大国関係の構築」という明確な長期目標があり、両国はそれに向けてまい進している。日本が消極的に回避的態度を続けると、急激に変化しつつある大国関係構造のなかで、孤立するしかなくなってしまう。
アメリカを通じて対中圧力をかけるという短期戦略は、今後の日本にとって大きな戦略ミスにつながる。それで日本が失うものは中日関係だけではない。「窮地」から脱したいと思うならば、日本は誠意を見せ、実際の行動で示す必要がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年10月23日