▽隣国を「悪人」とする見方に懸念
元国連事務次長の明石康氏も12日、読売新聞に次のような文章を寄せている。
一部の政党は有権者に迎合するためか、外交や安全保障分野の主張で注目を集めている。多くの日本国民は、外交や安全保障分野で多くの選択肢があることを知らないため、問題を単純化し、理性的に判断できなくなり、観念的・感情的な対応をし、紛争が存在する隣国を「悪人」に仕立て上げている。一部の政党が領土問題などで隣国との対立をあおっていることが懸念される。戦前の日本を含む多くの国が自衛権を乱用した歴史を持つ。このため、日本は集団的自衛権の行使に対し、極めて慎重になる必要がある。尖閣諸島問題で最も懸念される点は、偶発的な衝突により日中が望まない事態が引き起こされ、両国が後に引き返せなくなることだ。両国の危機管理メカニズム構築は待ったなしの状態だ。中国との関係を改善しなければ日本に平和は無く、安定した未来もありえない。両国の政府と民間は、しっかりとした多層的な関係を構築する必要がある。また日本人、特に若者は現代史への理解が浅い。不幸な歴史という事実に対し、日本人は謙虚さを持つべきだ。
毎日新聞の5日の報道によると、元外務省条約局長の東郷和彦氏も日本の政策が右に傾いているとの見方を示している。東京大学名誉教授の坂野潤治氏も「今回の選挙の情勢を見ると、1937年4月の総選挙を思い出す(注:この選挙の後、同年6月に近衛文麿が首相となり、7月に盧溝橋事件が勃発、全面的な中国侵略戦争が始まった)」と語っている。また共同通信社は「かつて中国侵略戦争を経験した有権者も、日本が戦争の道を再び歩むのではないかと心配している」と報じた。