文=コラムニスト・中川幸司
チャイナネット中川コージのブログ『情熱的な羅針盤』を御覧の皆様、
新年あけましておめでとうございます。
毎度の乱文、駄文でございますが、本年も引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
昨年は日中の外交状況も芳しくなく、日中民間交流に関しましては、日中国交正常化40周年のお祝いムードというよりも、政治の動静を伺いながらのビクビクした消極的なものになり、後味の悪い一年となってしまいました。中国内にいる日本人同胞、そして日本国内にいる中国人のみなさんは、公私共に残念な思いをされた方も多いのではないでしょうか。政治レベルで語れば僕も含めそれぞれの「利害ある立場」を明確にしなければなりませんが、国家・国籍・国民・所属等という概念を脱ぎ捨てて真に純粋な対面している人間関係というものが「仮にある」とするならば、眼前にいる個人的な友人は、「友人」であるという事実に変わりはありません。
民間交流に関して、ことを複雑にしているのは、「民間交流」というものを、政治利用しようとする勢力がありまして、まさにこういった存在が本当の友好交流を妨げていることにほかなりません。「日中関係が政治的に冷えきっているから、今回の民間交流イベントはキャンセルにしましょう」といった主張はまさにこうした政治的要素を鑑みたものであって、似非民間交流であります。日中関係が政治的にどうであろうと、民間の各組織のリーダーシップとしてどうしたいかを純粋に達成していくべきでありましょう。むしろ、「日中関係が政治的に冷えきっているからこそ、民間交流イベントをさらに盛り上げましょう。」という主張が真の民間交流なわけです。このように考えると、日中間の問題は、政治的外交問題も明らかに存在するにせよ、「真の民間交流」というものがほとんど存在しないということにつきましょう。友好団体・民間交流(組織)を標榜しながら結局は政治がらみであることがほとんどであります。
さて、この問題に、経営学的ロジックを考えます。
NPO・NGO(非営利・非政府組織)ボランタリー組織などの問題を考えるときに、このような「政治介入」問題をいかに排除するのかということが課題のひとつとなります。
とくに、中国は政府部門が管轄する権限(許認可)範囲が広く、民間の活動が制限されやすいですね、また、日本は阪神淡路大震災を経てNPO法人という法人格は比較的容易に取得できるようになりましたが、これをある私的な利得のために悪用するケースが登場し、NPOという存在の評判が社会的に落ちてしまいましたし、制度上も多くの矛盾をかかえています。日中それぞれの国内制度の問題として、純粋民間組織というものが社会から役割期待され難い状況であるわけです。
ですから、ある国の法制度下において、組織活動を円滑におこなうために運営をしようとすれば、1,現有社会サービス(銀行口座を持つ・契約書を有効にするなど)のシステムに入っていくために法人格取得をする必要あるが、そのためにNPO/NGO組織法人格を届け出る先は常に行政側であること、また、2,資金運営ノウハウの未熟さから行政が賄えないサービスを低額で受注する組織となり下がってしまうこと、が発生することがこれまで多くの事例で明らかになって来ました。つまるところ、いかなる状況でもNPO/NGOはそれぞれの国家の「行政」の下部組織、「下請け」となる可能性をはらんでいるわけです。
これでは、このようなNPO/NGP民間ボランタリー組織というのは、国家の政治介入を排除した純粋な理念を達成することは難しくなってしまいますよね。
この解決策・答えはまだ経営学上明確なものはありません。