先ほど開催されたダボス会議において、一部の国家の指導者と金融界の有力者は安倍政権の金融緩和策を非難し、日本が金融戦争を引き起こしているとした。日本の量的緩和策は、本当に世界金融戦争を引き起こしてしまうのだろうか。
中国には、「重病を治すには劇薬を用いる」という古いことわざがある。20数年間に渡り低迷している日本経済にとって、安倍首相の2000億ドル規模の量的緩和策は、「劇薬」のレベルに遠く及ばない。歴代の日本政府が投じた8000億ドルの資金がほぼ底をついたが、日本経済の起死回生を引き起こしておらず、また世界金融に対して大きな影響を及ぼしてもいない。むしろ日本経済の世界に対する影響力が、日増しに低下している。些末事にとらわれる思考回路の制限を受け、日本の経済政策も非常に限られたものであり、往々にして小規模な投入を講じるばかりだ。この探りを入れるような戦術は、日本経済に与える影響さえ限られているのに、世界金融戦争を引き起こすはずがない。
近年、ドル安進行を特徴とする世界金融市場の変動は、主に米国の量的緩和策によるものだ。米国はすでに量的緩和第4弾(QE4)をスタートしたが、米国の大規模な量的緩和策がいつ終了するかを知る人はいない。QE3、QE4の規模だけでも1兆ドル以上に達し、安倍内閣の量的緩和策の約5倍に相当する。EUも負けてはおらず、2011年末と2012年の2回に分けて、市場に1兆ユーロ以上の資金を投入し、債務危機からの脱却を図った。しかしこれは、理想的な成果を収めなかった。
そのため世界の紙幣印刷競争を引き起こしたのは米国とEUであり、日本はせいぜいその追随者といったところだ。世界では一部の人間が責任を日本になすりつけようとしているが、これは世界金融市場の変動を引き起こした自らの責任から逃れるためであり、他にも本国もしくは本地域でより大規模な量的緩和策を実施するための口実を求めている可能性がある。これこそが我々が警戒すべきことであり、日本にばかり注目してはならない。