別の面から論じれば、量的緩和もそれほど恐ろしいものではない。量的緩和は、緊迫する金融、経済発展の原動力不足の状況下で講じられる、やむを得ない策なのだ。これを実施しなければ、経済は引き締めのスパイラルに陥る。企業は投資する資金を持たず、消費者もモノを購入できない。これでは消費を刺激し、経済成長と福利厚生の充実を促すことは不可能だ。他国が量的緩和策を講じたからといって、世界で「金融戦争」が引き起こされると憶測してはならない。我々は大げさな言葉に耳を傾けるのではなく、事実そのものについて論じ、日本の金融措置から受ける影響を真剣に考慮するべきだ。
円安進行は中国の対日輸出に影響を与え、輸出が遅れる可能性がある。中でも特に、低付加価値商品への影響が深刻だ。また円安により、日本の一部商品の中国市場におけるシェアが回復・向上する可能性がある。これらの商品は海外で競争力を高め、中国の海外市場シェアを食い込むだろう。中国製品の多くはこれまで、低価格により日本製品と競争してきたが、これは今後10年間に渡り継続されるだろう。日本は現在、金融の手段により中国製品の価格優勢に打撃を与えており、新たな危機が生じる可能性が高い。金融戦争は現実的ではない。中国は海外市場において、いかに日本製品と競合すべきかを考慮すべきだ。(周永生:中国日本経済学会理事)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年1月28日