ソニー、シャープの衰退にともない、いままで磐石と思われていた世界的な大手企業の神話が崩れた。グローバル市場で、日本人が生き残るにはどうすればよいのか?世界的なヘッドハンティング会社の会長であり、これまで延べ数百人をヘッドハントしてきたAIMSインターナショナルのロルフ・ヘープ氏は次のように分析する。
グローバルな人材市場では日本人の存在感は低下してきている。その代わりに台頭してきているのが中国とインドだ。なぜ日本人は中国人、インド人に勝てないのか?やはり、英語ができないということ。仮にできたとしても、海外現地市場で生き残るには複数のスキルが必要だ。まず、現地の言語は欠かせない。加えて、ローカルな社会、文化に溶け込む積極性、柔軟性。それらの方面で日本人は中国人やインド人に劣っている。日本人の駐在員は日本人のコミュニティで固まって、ほとんど外部と接触しようとしない。こうしたところにも、日本人の集団意識が表れている。
企業への高い忠誠心、非常に組織を重んじる点など当然、日本人が勝っている点もある。そういう意味でも、「人」の役割は企業の発展にとって非常に重要だ。すでに世界では人材の争奪戦が始まっている。残念なことに、日本企業のHR(人材獲得・育成)に対する反応は少し遅い。
人材の採用について、日本はこれまで「新卒至上主義」だった。大学を出たばかりの優秀な人材を採用するということはよいアプローチだが、それだけでは不十分といえる。短期間で企業の戦力に成長するのは難しいし、大学教育にも多くの不十分な点がある。そのため日本国内での新卒採用を減らし、経験のある現地人材を優先すべきだ。
日本企業の「現地採用」が非常に少ない要因は、日本企業の特徴としていい意味でも悪い意味でも「伝統的だ」ということ。組織的な指揮系統は突発的な状況において強みになる場合もあるが、ここまでめまぐるしく変わる環境の中では柔軟性や速度で劣る。それに日本企業は非常に階級性が強い。同じ企業でも現地人材は給与の面や労働環境の面で日本人に劣る。日本企業の役員クラスには外国人が稀だ。それは企業のグローバル化には不利となる。
ソニーやシャープ、パナソニックなどの日本企業の苦戦を見ていると、イノベーションに対応できなかったこと、柔軟性の欠如、行きすぎた組織化などの要因でグローバルマーケットに対応できなくなっている。
一方中国企業は柔軟で、意思決定のスピードは迅速。すでにアフリカに目を向けて、大規模投資を開始している。特にナイジェリア、アンゴラ、ケニア、ガーナなどアフリカ地域で大規模なインフラ投資を行っている。また、ヨーロッパでも中国企業の存在感が増していきている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年2月4日