2012年末から、世界の大手ヘッジファンドは日本に賭けて巨額の利益を得ている。この円の空売りは、業界内で「安倍トレード」と呼ばれている。
日本政府がデフレ対策として過激な金融策をとっていることにより、円の対米ドル為替レートは2012年11月以降20%近く下落し、2013年2月には33カ月ぶり安値をつけ、1985年以降最低となった。ここ数日は上昇の動きを見せているが、アナリストは下落傾向はしばらく続くと見ている。
多くの日本人は、安倍晋三首相から真っ先に利益を得るのが自国民でなく、ジョージ・ソロス氏など海外の金融の巨頭だとは考えもしなかったに違いない。
ヘッジファンドは昨年11月に円買いを開始し、12月の衆議院選挙の期間中に安倍氏が緩和策を引き続き表明したことから、持ち高を増やしていった。安倍氏の首相就任の呼び声が最高に達したとき、円の売り持ちも最高に達した。ヘッジファンドがこれほど円買いに走ったのは2008年以来初めてとなる。
十社近くの大手ヘッジファンドの後押しにより、円はブルームバーグが観測する先進10カ国の通貨で最低水準となったが、相場師はこの円安で多くの利益を上げ、今回の最大の勝者の姿も明らかとなった。それはジョージ・ソロス氏だ。
統計によると、ソロス氏が保有するソロス・ファンドはわずか3カ月の間に、円安を見込んだ取引で10億米ドルの利益を得た。
日本の輸出業者に打撃
金融界のやり手が大きな収益を上げる中、一部の日本の輸出業者は打撃を受けている。多くの輸出業者は先物市場でドル売り円買いをしているため、円が下落すれば損失が出る。
バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのグローバル金利・為替リサーチ担当責任者、デビッド・ウー氏は「日本の輸出業者は円を買う必要があり、ずっとそうしてきたため、円の下落は長くは続かないだろう。近ごろの日本の株式市場の上昇で輸出業者の株式は利益を上げた」と話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年2月16日