日米両政府はこのほど、沖縄県の米軍嘉手納基地以南の6つの米軍施設・区域の返還計画を公表した。これに伴い、米軍海兵隊員及び家族が沖縄からグアムやハワイに移転する。計画が実現した暁には、米軍が使用している一部の施設と区域が沖縄の人々と日本に返還される。返還の対象となっているのは、牧港補給基地や那覇軍港(那覇市)、更にはタンクフォーム1カ所とキャンプ2カ所である。
この動きに対し、米国の真の狙いは一体何なのかと探る人も多いだろう。実際のところ、日米両国の高官とメディアの関連する評論を分析すれば、米国がこの計画で「一石二鳥」の得をすることが見えてくる。
「一石二鳥」の一つ目の利益は、沖縄県民と政府を安心させることで、在日米軍の圧力緩和に繋がる。在日米軍は5万人近くに上り、半分近くが沖縄県に駐留しており、県の大きな負担となっているため、幾度となく県政府と県民の強い反発に遭っている。日米両政府が声高に、沖縄に駐留する海兵空陸機動部隊の移転を発表し、米軍施設・区域は「おおむね2020年代に返還可能」としたのは、日本国内で米軍基地の国外への移設を望む声がますます高まり、移設にかかる圧力が増大していることを受けてのことであり、更には米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県外移設の時間的猶予を稼ぐためである。
二つ目は、米軍の兵力を分散することで、米軍の多国への軍事介入や軍事行動に対する報復に遭った場合のダメージを軽減することができるという点である。沖縄県に駐留する米軍は、数十年にわたって西太平洋地域の最前線の主要戦力としての役割を果たしてきた。その主な任務は朝鮮などの東アジア諸国の監視であり、戦略的な抑止力を発揮し、必要に応じて東アジア諸国での軍事行動に出る。しかし、東アジア諸国の軍事力が拡大し、長距離での攻撃能力が向上したことで、沖縄県は既に攻撃範囲に収められおり、沖縄に駐留する米軍部隊が戦争で報復攻撃に遭う危険性は高まっている。このような苦境に立たされ、米軍は最前線の兵力を減らし、グアムやハワイ、オーストラリアなどの、いわゆる「第二列島線(伊豆諸島を起点に、小笠原諸島、グアム・サイパン、パプアニューギニアに至るライン)」「第三列島線(ハワイ群島を中心に、北はアリューシャン列島から南はオセアニアの島嶼群を結ぶライン」に兵力を分散する狙いがある。
米メディアは、沖縄に駐留する海兵隊の調整は、軍事・安保面で、アジア太平洋地域に戦略の重心を移す「リバランス(再均衡)」を目指すオバマ政権の戦略の一部である。米軍は空・海における長距離輸送能力の装備が整っており、遠洋機動力が高いため、沖縄には依然、米軍の切り札である海兵連隊と偵察機隊及び1万人以上の海兵空陸機動部隊が駐留している。そのため、在日米軍の調整は米軍の東アジア地域における作戦能力に影響を与えることはない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年4月10日