経済協力開発機構(OECD)の最新のリサーチによると、新たな付加価値の計算法を使用した場合、中米間の貿易赤字は25%減少し、これまでの予想値を下回ることになる。そのため現在のグローバル経済の発展において、一国だけで作られた製品が貿易バランスを失わせたと非難される、かつてのような現象は生じにくい。現在生じている知的財産権の保護、インターネットに関する問題は、双方の関係緊密化により現れた新しい問題であり、ゼロサムゲームの繰り返しではない。
当然ながら、安全分野において中国の米国に対する脅威は、当時の日本の米国に対する脅威を上回っているが、中米がゼロサムゲームの関係であるわけではない。
日本が中米間の安全関係を、西太平洋の支配を巡る大国の対立としてとらえているならば(ある面では当たっていると言えるが)、日本は同盟国として集団的自衛権が必要だというロジックも成り立つ。問題はこれが誤判断だった場合、日本は中米対立の仮説から戦略的なメリットを獲得できないばかりでなく、中日関係を犠牲にするというコストも支払わなければならない。
日米同盟の現実、中日の和解の遅れにより、日本の米国に対する「オーバー・ザ・トップ外交」には、効果的な対策が存在しない。日本にできるのは、常に米国政府の意図を読み取ろうとすることで、国務長官クラスの高官のわずかな言葉も、重要な証拠として解読するだろう。
日本は戦略的不安により、米国の一部の日本問題専門家や「知日家」を利用し、米国の意図を分析し、自らの判断を確認しようとすることが多い。日本にとって、米国の中国脅威に対する判断を推測し、中米の接近により見捨てられることを懸念するのは、戦略的に見てそれほど大きな価値を持たない。これらを日本の対外戦略の立脚点とすることは、戦略を度外視したやり方である。日本はこれにより中米関係の分析、米国の意図の推測の泥沼に陥り、戦略的な彷徨と心理的な不安に見舞われるだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年7月19日