日系自動車の輸出は比較的安定していたが、「国有化」後、輸出は大幅に減少した。トヨタ自動車で勤める曾峰毅さんによると、昨年9月に定められたプロジェクトはいずれも延期となり、今年の業務展開も難航しているという。「中日関係の悪化が日本車の中国での売り上げ減をもたらしたことは紛れもない事実」と厳しい実情を語る。
しかしながら、日本の経済界は中国での日系企業の業績悪化の原因を、中国の経済成長の鈍化と「China+1」戦略にあるとしている。日本貿易振興機構(ジェトロ)大連事務所の荒畑稔所長は、現在中国はGDPの成長よりも、経済構造の調整を重視し始め、投資や貿易にはより高い基準が設けられ、中日経済貿易もその影響を受けた、と分析している。
「China+1」戦略とは、日系製造メーカーが拠点のすべてを中国に置くリスクを避けるため、東南アジア諸国(アセアン諸国)に投資先を分散する戦略である。ジェトロの統計によると、今年1-6月期の日本の対アセアン諸国への投資総額は113億ドルで、対中投資の約2倍になった。
中国の一般市民の日本製品に対する抵抗感以上に、日系企業は中国の大型インフラ施設や重化学工業、機械分野など主に政府が主導する分野の今後の見通しを懸念している。統計では、昨年の日本の重機械と建設(鉱山)用機械の対中輸出は前期比でそれぞれ4.4%と56.9%減となった。
中国経済は未だ満潮を迎えてはおらず、インフラ設備や環境保全設備、電力設備などシステム分野における発展の潜在力はまだまだ大きい。日本の重化学工業にとっては魅力的なはずだが、中日の「政冷経涼」の現状が日系企業に暗い影を落としていることは間違いない。