利益を生み出すビジネスモデルを、なぜ他のメーカーが模倣しないか。それには二つの重要な前提が必要となるからだ。一つは、自動車メーカーの市場シェア、あるいは知名度が、市場に決定的影響力をもっているということ。もう一つは「ケイレツ」メーカー同士が結束し、絶対的協力関係にあり、「裏切り者」がでないということ。両者は容易に揃う条件ではない。日系企業であっても初期段階においては成し得ていなかったことだ。仮に巨大な市場シェアや知名度があったとしても、日系企業のこうした閉鎖的、あるいは黒社会的結束文化がなければ、目先の利益に誘惑される者が現れ、後に「獅子身中の虫」となってしまうだろう。
独占禁止法という観点から見れば、これは明らかに犯罪行為であるわけだが、日本企業にとってみればこれはある意味で日本文化に根ざした企業文化であり、日本の企業界では普遍的に行われている現象であって、当然彼らに「犯罪」意識はない。これは日系企業が容易に独占的大企業を形成してしまう直接的な要因でもあろう。
中国に拠点を置く日系企業の場合もそうだが、日本の企業は止む終えない状況に追い込まれない限り、他国企業の部品や材料を調達することはほとんどない。日系企業が参入すれば、少々価格が高くとも購入する。ある企業がある分野で大きく成長すれば、日系企業が価格をコントロールしてしまうのは自然な流れであり、それが今回米国で起きている「犯罪事件」になってしまったわけだ。米国では「反トラスト法」に抵触するといわれても致し方ないことで、それが米国で働く多くの日本人社員が刑務所送りになるという悲惨な状況を招いてしまった要因なのだ。
(文=宋文洲 エコノミスト、ソフトブレーングループ創業者)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年1月19日