大国の対抗を促す要素には、協力を促す内容も含まれている。中米が将来的に東アジアで対立するという議論の中では、一つの事実が忘れられがちだ。米国の同地域における存在は、実際には中国の多くの戦略的利益にかなっているのだ。これは中国が最終的に米軍を同地域から追い出すという説が、それほど信頼できるものではないことを意味している。日本の英字誌『ザ・ディプロマット』が伝えた。
(一)日本の通常兵力の制限。米国の利益にかなっているかはさておき、米国の日本に対する安全保障の約束は、日本の通常兵力の規模と実力を制限している。中日の歴史的な感情のもつれ、現在の領土問題、東アジア主導権の争奪を鑑みると、この制限の作用は中国にとって極めて有利だ。中国が米軍を東アジアから追い出せば、日本はその通常兵力を大幅に強化するだろう。それは中国にとって、不利益な勝利になる。ゆえに中国は既存の地域枠組み内で台頭し、行動しようとしている。
(二)核拡散防止。米国の軍事力、および東アジアの安全に対する約束により、日韓や台湾地区は核兵器を保有しておらず、短期間内に潜在的もしくは実質的な核能力を持つ可能性が低くなっている。この事実は戦略的に、中国にとって有利だ。これがなければ中国の課題が満ち極めて複雑な安全環境は、より複雑化するはずだ。これは米中の同地域における利益が重複していることを示しており、米軍の東アジア駐在が中国の利益を脅かすとは限らないことを再度裏付けている。
(三)開放的な海上ルート。米国は東アジア、広大なインド洋と太平洋で海軍の力を誇っており、中国の経済・戦略に大きな利益をもたらしてきた。米国は1980年代より、海上ルートの開放・安定を約束し、これを維持しており、中国の壮大な経済的台頭を支援・促進した。東アジアの多くの海洋貿易ルートの開放および安全の確保には高額な代価を支払う必要があるが、少なくとも現時点の中国にはこれを負担しようとする動きはない。
米軍の大規模な軍隊が東アジアに駐在することは、中国のさまざまな革新的・戦略的利益にかなっている。ゆえに中米が戦略的駆け引きに向かうことは避けられないという説が、通常の推測や断言のように確かなものとは限らない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年3月17日