民衆は経済回復の兆しをみたいと安倍内閣を最大限支持してきた。一方、安倍首相はこれを保守回帰、周辺国との対立強調、国防予算拡大に対する民衆の賛同だと考えた。アベノミクスの3本の矢はすでに課題が山積している。外資頼みの株式市場も下落が続き、円安による経済再生への希望も巨額貿易赤字で、円安によるマイナス影響が浮き彫りとなってきている。
「日本企業の海外事業展開の状況の統計が始まった1986年の時点で海外生産比率は3%前後だったが、2013年には20%を上回り、これまで堅調に伸びているといえる」と山口氏は語る。今後5年の予測値をみると、海外生産比率は拡大の一途をたどり、2017年には25%を上回る見通しだ。海外から日本に戻る現象はほとんどなく、日本企業による日本での投資拡大は予測すら難しい。
消費税の引き上げで物価は上昇し、日本は少なくとも物価下落の状態から脱却し、従来であれば企業は国内投資意欲を持つはずだが、高齢化の加速、人口の持続的減少で、日本の市場はますます縮小していく。70年代から80年代にかけての技術革新への熱意は90年代後半に入ると飽和状態となり、日本企業の革新的製品、革新的経営理念はほとんど見聞きしなくなった。日本企業自体の革新的設備投資の不足は深刻だ。これは安倍内閣が招いた結果ではないが、こうした現象も日本経済の好転に影響を与えている。
日本はすでに1000兆円の借金を抱え、先進国の中でも財政状況は極めて最悪だ。消費税率の引き上げで、その消費は新たな寒冷期に入った。そんな時に企業が積極的に設備投資するはずもなく、投資の有望な新たな分野もない。
「今後1年の日本経済について私は慎重な態度を取る」と山口前日銀副総裁は語っている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年4月13日