多くの役者は脇役から始める。脇役を演じるのは怖くはないが、脇役や一瞬だけの役を一生続けるのは苦しいだろう。しかし福本清三(71)さんは、決してそうは考えない。福本さんは15歳でデビューしたが、今年7月に初主演の映画が公開されることになった。福本さんはこれまで時代劇の斬られ役を演じ続け、すでに5万回以上斬られたとされている。
映画の中で悪役や脇役を演じるのは、多くの人にとって重要なことではないかもしれない。しかし福本さんは、この役割を非常に重視している。「斬られ役の倒され方次第で主役が"立つ"かどうか、それが大きく変わります」
福本さんは劇的な斬られ方を研究し、深い印象を与えようとした。福本さんは、チャップリンの若い頃の映画を研究した。チャップリンは死ぬ時に苦しい様子をすることが多く、福本さんは笑いをこらえられなくなった。福本さんはそこからインスピレーションを得て、自分も苦しそうに死に、自分でも苦しいと感じるほどになれば、観客に同じような感覚を与えられると考えた。
福本さんは映画のスクリーンで、斬られ役や切腹シーンなどを演じてきた。すべての死に方は例外なく、非常に醜い様子をしている。この醜さは日本語で無様と呼ばれる。福本さんによると、人々はこの無様から美を見出し、最も醜い形式による死は、最も見事になるのだという。
福本さんは業界内の役者から尊敬を集めている。福本さんにとって初主演となる映画「太秦ライムライト」が、今年7月ついに上映される。福本さんは、「そりゃ最初は緊張しましたね。撮影が始まると、たくさんのカメラが自分だけ向いて撮影するわけですから」と語った。