国連の経済的、社会的及び文化的権利委員会は昨年5月の報告で、必要な措置を講じて慰安婦被害者の経済的、社会的及び文化的権利を保障するとともに、「ヘイトスピーチ」や慰安婦を侮辱する行為を阻止し、国民に対する歴史教育を徹底するよう日本政府に求めた。だが「アベノミクス」が日本経済に短期的好材料をもたらす中、安倍政権は平和憲法改正の野心を顕にし、教育から歴史を否認する行為を加速している。(文:西野瑠美子・日本の作家、慰安婦問題専門家、民間団体「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクション・センター共同代表)
自民党教育再生実行本部は2013年6月12日に教科書検定制度の見直しについて議論する特別グループ会議を開き、今後教科書関連法の制定について議論することを決定した。自民党は教育への政治的干渉を強化し続け、「多くの教科書に自虐史観が存在する」と主張してさえいる。
早くも2012年11月には日本の右翼政治屋・櫻井よしこ氏の所属する歴史事実委員会が日本の国会議員39人と共に米ニュージャージー州の新聞に「THE FACTS」と題する広告を出して、慰安婦問題を否定・歪曲した。広告で日本右翼は3つの「事実」を示した。(1)日本政府または日本軍が慰安婦の徴用に加わったことを示す歴史的文書は見つかっていない。(2)当時の日本政府と日本陸軍は女性の意志に反する売春に反対しており、仲介業者に警告も出した。(3)慰安婦は高い収入を得ており、処遇も良好で、性奴隷では決してなかった。広告は、日本軍が若い女性に性奴隷になることを強制した、この20世紀最大の人身売買事件について、歴史的事実の歪曲だとの認識を示した。広告に賛同者として署名した「日本会議国会議員懇談会」「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」など右翼勢力メンバーの多くが日本政界において要職にあることから、人々は日本の将来の行方に懸念を抱かざるを得ない。