中国社会科学院主催の国際学術シンポジウム「日本の戦略的動向と中日関係の位置付け」が、8月24日に北京で開かれた。元中国外交部副部長、元駐日大使の徐敦信氏が、開幕式で基調演説を行った。
徐氏は「中日の開戦は不可避」という説に対して、「これは浅はかな観点であり、時代の流れに背いている。歴史の経験と教訓は、中日が協力し合えば両国の利益になり、争えば両国に損失が生じることを何度も証明している。両国は対立・対抗の道を歩んではならず、戦場で相見えるという歴史の悲劇を再演してはならない」と指摘した。中国は共同・総合・協力・持続可能なアジア安全観を提唱し、各国の安全を尊重・保障し、対話と協力により地域内の各国の共同の安全を実現すると主張している。世界経済一体化と地域一体化を背景とし、中日双方は政治・安全の相互信頼を再構築する必要がある。
中日関係は現在、国交正常化より最も深刻な局面を迎えている。いかにしてこの膠着状態を打破すべきだろうか?徐氏は、次の3つの打開策を提案した。
(一)中日関係の原点に回帰し、中日間の4つの政治文書を厳守することを確認し、中日共同声明と平和友好条約の原則と精神を順守する。中日関係の発展の歩みは、中日の4つの政治文書の原則と精神を厳守すれば、中日関係が順調に発展することを証明している。これを厳守しなければ、両国関係に波乱が生じる。
(二)政治の難題を解消する上で、両国関係に影響を及ぼす特殊な問題を回避できない。当面の急務は、歴史および釣魚島(日本名・尖閣諸島)問題の適切な処理だ。中国は、歴史を胸に刻む目的は憎しみを引き継ぐことではなく、戦争の教訓を銘記することで悲劇の再演を防ぎ、より良く未来を切り開くことであると強調している。
(三)交流・協力を拡大する。両国の国民間の好感度は、国交正常化以来で最低の水準に落ち込んでいる。これは相互の理解と認識のズレによるものだが、両国民が中日関係を重視していないというわけではない。双方は現在、妨害を排除し、メディア、文化、地方、青少年などの交流を全力で推進し、両国民の相互理解と友好的な感情を促進するよう努力するべきだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年8月26日