日銀は先週金曜日に、サプライズとなる金融緩和の拡大を発表し、マネタリーベースの年間増加額を従来の60−70兆円から80兆円とした。これは米連邦準備制度理事会が、量的緩和策の終了を決定した直後の出来事だった。日銀は連邦準備制度理事会のバトンを受け取ったとする観点もあるが、これが瀕死状態のアベノミクスを救う策であることは誰の目にも明らかだ。
日本政府が4月1日に消費税を5%から8%に引き上げると、日本の第2四半期の経済成長率はマイナス1.8%(年率換算でマイナス7.1%)に低下した。各世帯の消費支出は9月に前年同月比5.6%減となり、6ヶ月連続の減少を示した。9月の失業率は3.6%とやや上昇した。また大幅な円安は日本の輸出を刺激しておらず、今年第3四半期の貨物輸出は1.9%の微増に留まった。
IMFの篠原尚之副専務理事は、「アベノミクスは日本経済の勢いを盛り返していない」と指摘した。
安倍政権の計画によると、消費税を8%に増税後、政府の取り組みを通じ、2015年10月に再び10%に引き上げることになる。しかし深刻な経済情勢と財務状況を鑑み、安倍首相はさきほど増税の延期を示唆した。
しかし反対者は、安倍首相が来年の消費増税見送りを決定すれば、アベノミクスの失敗を認めることになると指摘している。安倍首相が、苦労して打ち出したアベノミクスが息絶えるのを傍観するはずがない。
黒田東彦日銀総裁が約半数の政策委員の反対を押し切り、大胆な市場救済を決定した理由は言わずとも明らかだ。周知の通り、黒田総裁は安倍首相に指名された。この人事の発表により、日銀の政策の独立性が疑問視された。