安倍晋三首相は18日夜に首相官邸で記者会見を開き、衆議院解散と年内の総選挙を発表した。安倍首相は消費増税を先送りし、デフレ脱却を目指す「アベノミクス」を続けていくか国民に信を問うと述べ、さらには選挙に敗北すれば辞任すると大胆な発言をした。再任から2年もたたないうちに、アベノミクスが疑問視され、内閣のスキャンダルが後を絶たず、支持率が低下を続けている。安倍首相は「奥の手」を使い、政権運営の主導権を握ろうとしている。
政権与党内部で「解散の風」が吹き荒れた当時、自民党内の一部議員からも、「消費増税と衆議院解散に何の関係も認められない」と異議が出されていた。野党は安倍首相の衆議院解散について、「大義なき解散は、政党の利益目的の謀略だ」と批判した。
安倍首相が18日の記者会見で明確に意思表示すると、野党は「増税失敗の解散だ」とこぞって批判した。野党は安倍首相の景気刺激策「アベノミクス」は失敗すると断定し、安倍政権との全面対抗の準備を進めている。
民主党の枝野幸男幹事長は国会議事堂で、安倍首相の決定について、「なぜ選挙するのか分からない自己中心的な解散だ。アベノミクスは国民の期待感をあおったが、国民の生活水準は日増しに低下している」と発言した。維新の党の江田憲司共同代表は、「経済が衰退する中、巨額の税金を費やし解散する意義はどこにあるのか」と述べ、解散の時期を疑問視した。日本共産党の志位和夫委員長は、「安倍首相は解散が遅れるほど手詰まりになると考え、今のうちに解散と思ったに過ぎない」と断言した。
選挙になれば、自民党が480議席の衆議院で294議席を占め勝利する可能性が高いが、どれほどの差をつけられるかに注目が必要だ。右寄りの政党が衆議院で3分の2以上の議席を占めれば、安倍首相の「改憲の夢」の実現がより容易になる。