学術界ではすでに吉田氏の供述は「眉唾もの」として認定されていた。しかし安倍首相は朝日新聞の記事撤回の機会を利用し、性奴隷という表現は「根拠がない誹謗中傷だ」と述べ、多くの資料があり説得力を備える慰安婦の歴史を全面的に否定しようとした。安倍首相は10月、政府に対して、「国際世論にPR攻勢をかけ、日本が客観的な事実に基づき、公正な評価を受けられるようにする」よう指示を出した。
人権問題大使の佐藤地氏はその2週間後にニューヨークに派遣され、国連の女性暴力問題特別報告員だったラディカ・クマラスワミ氏に対して、1996年に作成した慰安婦に関する報告を見直すよう求めた。クマラスワミ氏はこの要求を拒否し、一つの記事撤回だけでは報告の結論を覆すことはできないと表明した。これらの結論は、当時日本に占領されていた各地の大量の文書、被害者の証言によって得られたものだ。
政治の私欲により、安倍政権はクマラスワミ氏が提示した歴史の記録をわざと無視し、日本統治時代の朝鮮半島の女性への対応に関する議論に注意をそらした。クマラスワミ氏から拒否されると、菅義偉官房長官は国連人権理事会などの国際機関で日本の弁護を続けると宣言した。これは慰安婦の性奴隷という定義の返上を目的としている。
厳しい事実ではあるが、安倍政権は戦争の罪の否定に執着している。日本はクマラスワミ報告を疑問視したほか、国連が近年日本と関係のない戦争の罪を発表していることに文句をつけ、被害者の証言を認めようとしていない。
戦争中の強姦と違法な性的行為の取引は、依然として世界的な問題だ。このような罪を減らそうと願うのならば、安倍政権の歴史否定を放任してはならない。国連安保理常任理事国は、安倍政権の人身売買と性奴隷の歴史記録を否定しようとする行為に対して、明確に反対を表明しなければならない。
特に米国は同盟国の日本に注意を促す責任がある。人権と女性の権利は、米国の外交政策の支柱だ。米国が声を上げなければ、日本の歴史否定に協力するようなものであり、性的暴力と関連する戦争の罪をなくそうと努力する国際社会に悪影響をもたらすだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年11月26日