今回の衆院選の結果により、安倍首相の改憲を制限する力が弱まることは間違いない。日本の政治ルールによると、参議院で否決された提案は、衆議院で3分の2の賛成を得れば可決される。安倍内閣は参議院を支配しており、より重要な衆議院でも3分の2の議席を維持している。これは政府の提案を国会で可決させるための「二重の保険」と言え、間違いなく改憲の加速を強く促す。安倍首相はこれまで、集団的自衛権の行使を容認しており、国内の政権運営の基盤を固めてから、より一歩踏み込んだ行動に出るかもしれない。これは周辺諸国やアジア太平洋にとって絶対に朗報ではない。
しかし日本の政治制度そのものが、政局不安定という特徴の原因になっている。自民党は2005年9月の衆院選で圧勝してから2年もたたない2007年7月に、参議院選で50数年間で初めて第1党の地位を失った。第一次安倍内閣も間もなく瓦解した。2年後の2009年8月、自民党は衆院選でも大敗を喫し、歴史上初めて野党に身を落とした。振り返ってみると、自民党の当時の衰退は一時的な歴史の現象に過ぎない可能性が高いが、これは安倍首相の自民党内における浮き沈みと同様、政治体制による頻繁かつ予測不能な政権交代という特徴を側面から反映している。この政治環境の中で政権運営する誰もが、「波乱」、「暗礁」、「転覆」の危険に常に直面し、警戒を維持する必要がある。