笹本氏は、多くの欧米人の捕虜と交流し、取材した経験を持つ。笹本氏は、「ほぼすべての捕虜が、食べ物が粗末だったと振り返っている。大半の人は飢えのため、体重が元の半分しかなくなった。当時、国際赤十字社が捕虜に食べ物などを輸送していたが、その大半は旧日本軍に横領されるか、輸送を拒否された。また捕虜の服も粗末なもので、ある人は縄をベルト代わりにし、縫い合わせた袋で体を覆う人もいた」と指摘した。
当時、殴る蹴るなどの暴力行為が軍の中で蔓延していた。笹本氏は、「暴力と虐待は日常茶飯事だった。これは旧日本軍の内部の体制と関連している。旧日本軍の内部では、上官が部下を侮辱し、何かあるとすぐ殴る蹴るの暴行を加えていた。この大環境の中、捕虜の境遇が最も過酷だった。旧日本兵にとって、捕虜は最も下賎な、差別・蔑視されるべき存在だからだ。当時の捕虜虐待行為は、実におぞましいものだった。当時日本に強制連行された中国人や朝鮮人も、同じような虐待を受けた」と話した。
同研究会の内海愛子共同代表は記者の取材に応じた際に、旧日本軍は第二次世界大戦中に約13万人の欧米の白人の捕虜を収容し、死亡率は27%にも達したと述べた。
内海氏は、「泰緬鉄道の建設で、1万3000人の捕虜が命を落とした。旧日本軍は当時人命を軽視し、間違った捕虜制度を制定していた。食糧などの物資が十分に提供されず、野戦病院などがないにも関わらず、工事を進めることしか念頭になかった。これにより建設現場の食糧が不足し、暴力行為が頻発し、最終的に悲劇が醸成された」と述べた。
『アンブロークン』が世界各地での上映を控える中、日本の右翼は誹謗中傷に力を入れている。内海氏は、「日本社会では、自分が目にしたくないものに対して善悪の見境もなく攻撃を加えるという、深刻な問題が見られる。一部の人は相手の立場になることができず、国際社会がどのような目で日本を見ているかを理解できない」と指摘した。
内海氏は、「アンブロークンをひたすら攻撃しても、日本の世界的なイメージが悪化するだけだ。日本の国益を損ねているのは、これらの右翼だ」と語った。
映画『アンブロークン』はハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーの監督作品で、11月に豪シドニーの世界初公開で好評を博した。本作は12月25日に米国で上映され、来年の年初に中国で公開される。日本での公開の予定は今のところない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年12月22日