「本年は終戦から70年という節目の年に当たります。(中略)この機会に、満州事変(九一八事変)に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切なことだと思っています」。日本の明仁天皇は1日、今年の新年に当たっての感想の中でこのように述べた。日本の天皇は毎年新年を迎えると、過去の一年を振り返り、新たな一年を展望する短い感想を国民に発表している。
同志社大学の浅野健一教授は取材に対し、明仁天皇の今年の感想は意味深いものだと語る。残念なのは、日本メディアがこの言葉をほとんど取り上げていないことだ。歴史に対する認識や反省の深さでは、多くのメディアが明仁天皇に及ばない。浅野教授によると、明仁天皇の言葉からは、日本の憲法を尊重し、中国などのアジアの各国と平和的に付き合っていくことへの願いがあふれ出ている。日本が米国に負けただけでなく、日本の侵略と植民地支配を受けたアジアの各国に負けたという歴史的な事実を認めるものでもある。
2015年は日本の敗戦70周年であり、明仁天皇だけでなく、多くの日本の人々がこの要となる年の意義を考えている。言論NPOの工藤泰志代表は記者に当てた年賀状の中で、2015年は戦後70周年の重要な節目に当たり、日本の未来にとっても重要な年となるとし、日本の民主主義と東北アジアの平和のために全力を尽くすと語った。
「戦後70周年」は、日本の各メディアの新年の社説のキーワードともなった。多くの社説が、侵略戦争の歴史に対する日本の現在の執政者の間違った態度に懸念を示し、日本の政府と国民がこれを契機として侵略の歴史を徹底的に反省することを求めている。
日本共産党中央委員会の機関紙「赤旗」は1日、軍国主義日本の敗北から70年に当たる今年、「歴史に真摯(しんし)に向き合い、痛苦の教訓にたって未来を切り開けるかどうか。節目の年に政治の姿勢が問われてい」るとする社説を掲載した。欧州では昨年6月、連合国軍のノルマンディー上陸作戦を記念する式典に米英ロシアと独の首脳が集まったが、それを可能にしたのは、ナチス・ドイツの行為に対する明確な否定というドイツ自身を含めた共通の土台である。アジア・太平洋地域では、日本を含むアジア・太平洋の首脳が同様の式典に集まることなど考えられない状況となっている。