安倍政権が昨年、集団的自衛権の行使容認に取り組み憲法改正を叫んでいた際に、明仁天皇は平和憲法を順守する重要性に触れていた。安倍首相の右翼シンクタンクである八木秀次氏は、「両陛下のご発言が、安倍内閣が進めようとしている憲法改正への懸念の表明のように国民に受け止められかねない」と天皇を批判した。明仁天皇は戦後60周年に、「日本は昭和の初めから昭和20年の終戦までほとんど平和な時がありませんでした」、「この過去の歴史をその後の時代とともに正しく理解しようと努めることは日本人自身にとって、また日本人が世界の人々と交わっていく上にも極めて大切なことと思います」と述べた。日本の右翼は、「歴史を正しく理解する」という言い方は中韓と同じで、絶対に受け入れられないと批判した。さらには、憲法の規定によると天皇は政治的な発言が許されておらず、天皇の護憲談話は憲法の定める皇室の規定に背いていると称した。天皇の正義ある呼びかけ、理性ある声を、右翼がどれほど恐れ憎んでいるかが分かる。
右翼勢力は天皇の呼びかけを操れず、日本の主流の民意を代表することもできない。昨年12月の衆院選の結果を見ると、日本国民のうち右翼と極右(ナショナリスト)は約12%、左翼(客観的な理性派)は8%、中間派は80%を占めている。右翼と極右は近年メディアを利用しナショナリズムを煽り、圧倒的多数派だった中間派を右に転じさせた。日本社会は右傾化の現象を示した。しかし日本の右翼は、実際にはそれほど強い勢力を持たない。我々が上手に国際社会や日本人と団結できれば、日本の世論の雰囲気を変え、中日関係を正確な軌道に乗せることができる。天皇の「歴史を学び、今後のあり方を考えていく」という年頭所感は、中間派の左への転換を促す。
安倍首相は社会の風向きの変化、天皇の所感の影響を受け、中国を敵視する強硬な外交路線を維持しにくくなるだろう。昨年の成果を踏まえた上で、今年さらに中日関係を改善することが完全に可能だ。(筆者:凌星光 福井県立大学名誉教授)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年1月7日