中東で猛威をふるうテロ組織「イスラム国」が20日に動画を発表し、2人の日本人の身代金として2億ドルを支払うよう日本政府に求めた。中東歴訪中の安倍晋三首相は21日に急遽帰国し、この厄介な突発的事態の処理に当たっている。安倍首相の選択肢は、テロ組織に身代金を支払うか、同盟国に依頼しハイリスクな救出作戦を展開するかの、2つしかないようだ。
日本メディアは、身代金の問題が安倍政権を悩ませていると報じた。これを支払えば、同盟国の理念に背くことになる。米国や英国はテロリストに対して「妥協しない」態度を示している。しかし身代金を支払わず人質が死亡した場合、安倍政権は国内から強い圧力を受けることになる。
同志社大学の内藤正典教授は取材に応じた際に、「日本はトルコを通じてイスラム国と交渉できる。トルコはこれまで49人の人質救出に成功しているからだ」と述べた。また別の専門家は、イラクなどイスラム国の敵対国を通じ、捕虜交換により人質を救出することも可能としている。
BBCも、日本には身代金を支払い人質を救出した前例があるが、今回は異なると判断している。イスラム国が今回要求している金額は「前代未聞」であり、2億ドルという巨額の資金をテロリストに支払おうとする日本の指導者はいない。ましてや安倍首相は「強硬路線」で知られているのだからなおさらだ。
次に、この2人の人質には、変わった経歴がある。シドニー・モーニング・ヘラルド紙は21日、人質の湯川さんの経歴は「謎」と伝えた。湯川さんは2005年に破産し、3年後に生殖器を切断し自殺を試みたが、妻に救われた。妻が肺がんで亡くなると、湯川さんはさらに絶望に陥った。事情を知る人は、家を失った湯川さんが公園で野宿しているのを見たという。湯川さんは資金集めに奔走し、シリアの「魂の旅」を始め、かつ日本企業の安全問題の顧問を務めていると自称した。その後の調査により、湯川さんの会社が存在せず、安全問題に関する「顧問」になったこともないことが明らかになった。湯川さんは日本の極右的な政治理念を信仰しており、「川島芳子の生まれ変わり」と主張している。湯川さんは自由シリア軍の作戦に加わろうとし、歴史に名を留めることになった。