2014年10月を例とすると、1人平均の定期給与は0.4%増となったが、コアのCPIが前年同月比2.9%上昇となり、賃金の増加率が物価上昇率に遠く及ばなかった。これは一般人の実質的な購買力の低下を意味し、個人消費の拡大に影を落とし、国民経済を悪循環に陥らせることになる。
中国現代国際関係研究院世界経済研究所の陳鳳英所長は取材に応じた際に、「日本の製造業の空洞化により、円安では日本経済を根本的に改善できなくなっている。高額の国の借金により日本の財政が薄氷を履む状態となっている。消費増税は負債の圧力を和らげるかもしれないが、アベノミクスの目標を実現することは不可能だ」と分析した。
陳所長は、「高齢化は日本社会の重要な構造問題だ。高齢者は消費力が低く、日本社会も欧米諸国のように開放的ではなく、外国人の移民に対して根強い反感を持っている。これによって、労働力をいかに拡大するかという重要な問題に、重大な進展が見られなくなっている」と指摘した。
改革の深化
日本の輸出総額は2014年12月に12.9%増となり、不景気の中の朗報としてとらえられたが、安倍政権が日本社会の「頑固な症状」を根本的に解消できなければ、経済好転は一時的な現象に過ぎなくなるだろう。
陳所長は、「アベノミクスの狙いは正しいが、その政治的傾向が強すぎ、構造問題が解消できない重要な原因になっている。中国の一帯一路(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)、シルクロード基金、アジアインフラ投資銀行は日本経済を刺激できるが、日本はこれに参与していない」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年2月1日