ましてや現在の英国の国力は、1971年の当時とは比べ物にならない。しかも当時はアジア・アフリカ・中南米の民族の解放運動が起こり、英国の植民地体制が瓦解しつつある時代だった。英国が最後の慰めとして、アジア太平洋とこの「防衛取極め」を締結したことも理解できないことではない。40数年の時が流れたが、英国はアジア太平洋で軍事的存在感を維持する能力を持っているのだろうか?このいわゆる「防衛取極め」が単なる紙切れであったことは、事実によって証明されている。イギリス連邦は現在すでに分散化・形骸化しており、名義の他に実質的な内容を持たない。大英帝国の威光の名残は、「鉄の女」サッチャー夫人が政権運営していた当時の、フォークランド紛争で示されただけだ。しかしフォークランドは英国の植民地であり、アルゼンチンに占領されやむなきことでもあった。英国はその他の地区・国家における軍事行動で米国に追随しており、イラク戦争による後遺症を現在まで残している。
アジア太平洋で軍事的存在感を示し、イギリス連邦諸国との「防衛取極め」を名義とする。こうすることで米国のアジア太平洋リバランス戦略と足を並べ、日本の積極的平和主義に協力し、アジア太平洋の地政学的情勢を緊張化・複雑化させることができる。英国は現時点では意思表示に留まっているが、立場を持たないという段階から積極的な参与の段階に移ったことで、中米関係にどのような打撃がもたらされるかは想像に難くない。西太平洋諸国は合従連衡しており、米国、日本、さらには東南アジアの関連国が中国に矛先を向けている。
国防費を大幅に削減する中、英国がアジア太平洋に触手を伸ばし中国を敵とするとは、まさに身の程知らずだ。英国はいかにしてかつての「太陽の沈まない国」の威風を示すのだろうか?アルゼンチンが中国製武器の調達に取り組んでいるが、英国は中国がアルゼンチンの「歯まで武装しようとしている」と誇張するかもしれない。フォークランドの積もり積もった恨みに基づき、英国は中国に怒りをぶちまけるしかないだろう。(筆者:張敬偉 チャハル学会研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年2月15日