林国本
このところ、北京の新聞で「北京に青空、清き水環境を」というキャッチフレーズを目にするようになった。北京市は中国の特色のある世界的都市という目標をかかげて前進をとげているが、大気の質の面で、よくスモッグ気候に悩まされていることも確かだ。大気の質の改善の必要性はすべての人たちの間でコンセンサスができているが、なにしろ急速な経済成長、急速なモータリゼーションで、どうも一朝一夕には解決できないようだ。しかし、上から下までコンセンサスができているのだから、この問題は必ず解決されるというのが私の見方である。
中国のシステムでは、いったん決断すれば必ず解決できる、ということを人々は体験を通してよく知っている。実を言うと、2008年の北京オリンピックの開催前後にいろいろ大胆な決定が行われたことも周知のとおりである。当時、北京の経済でかなりのウェートを占めていた首都鉄鋼会社も地方への移転が決まり、交通渋滞も一時ほとんど解決されていたことも確かだ。しかし、その後も経済成長がどんどん進み、また、新しい課題を抱えることになったわけだ。社会の発展というのはそういうものであろう。ある一点に止まっているわけではないので、前進すればまた新たな課題が浮上してくるのも当然であると言えなくもない。