林国本
大晦日(昨年12月31日)、山西省南部長治市の一化学工場でベンゼン系原材料のパイプの破損で、ベンゼン系化学剤が漏出する出来事が発生した。関係者は当初漏出量がそれほど多くないと見て、通常の上級部門への即時報告をせず、五日後にどうも漏出量が当初の判断を上回るのでは、と見て調べたところ、河北省の邯郸市、河南省の安陽市に流れる川にも流れ込んでいることを知り、ただちに両市にそれを通報した。両市はこの川の水を飲料水として利用しているので、ただちに川水の検査を行うとともに、市民に水道水の使用を一時停止するよう呼びかけた。ちょうど夕食の用意をする時刻であったので、市民はスーパーへミネラルウォーターを買いに走った。河南省側はさいわい代替の水源があったので、それを再起用する作業に入った。そのため、ミネラルウォーターを買いに走る人は河北省より少なかったようだ。
メディアは即時にこの件について取材を行い、長治市側も関係者の免職を発表し、さらに事実関係の調査を続けている。そのうちにさらに多くの関係者の責任が問われることになろうと思うが、この出来事は環境保全意識のさらなる向上と責任感の強化の必要性を物語るものとして関心がもたれている。