上海万博についても、先般、上層部で高く評価されることになった。私見であるが、上海万博は確かに中国にとってはプラスとなったビッグイベントである。低炭素社会の構築についても、環境保全についても、中国の人たちにとっては世界に眼を広げるきっかけになった。会場の建設に巨額の資金を投下したことは確かだが、それは決して捨て金、捨て石ではない。会場跡地のほとんどは東京のウォーターフロントのように「金のタマゴを生むニワトリ」に早変わりすることはまちがいない。少なく見積もっても7倍の付加価値を生み出すことになろう。外灘一帯の再開発にしても、これは上海市のさらなる発展のためにいつかは着手しなければならなかったものだ。こう考えてみると、上海万博のバランスシートは、プラスの方がはるかに多いと言ってもよい。さらにボランティアの成長ぶり、セキュリティ面でのソフトとスマイルという大成功、とにかく大成功であったと言える。
高速鉄道の技術の向上もすばらしい。テレビでは昆明からラオス経由、シンガポールまで伸びるルートの建設も構想されているらしい。もちろん、これは関連諸国の意思を尊重しなければならない話だが・・・。高速鉄道の走行テストについて、素人としてひとつ気にしているのは、日本の新幹線では強風が吹いたときには運転を見合わせている。中国にもそういうデータがあるのだろうか。時速380キロで走ることはすばらしいが、路線とかハードウェアだけでなく、気候、地震なども考慮に入れておくこともお忘れのないように。
とはいうものの、すべてがスムーズに行っているわけではない。最近、北京ではモータリゼーションの大発展による交通渋滞の対策が打ち出された。WTO加入当時、中国の自動車産業はどうなるのかと懸念する人がいたが、これも「隔世の感」なしとはいえない。日本の経済誌に13億の人口の国がモータリゼーションに突っ走れば、石油資源の「爆食」が起こるという記事が掲載されていたが、今や北京は駐車場難を抱える時期に入った。しかし、こういうことは解決不可能ではない。人類の歴史そのものが、いろいろな課題を乗り越えてきた歴史だ。
2010年はいろいろ喜ばしいこともあったが、大地震、大土石流という悲劇もあった。来年からは第12次五ヵ年計画が始まり、中国はグレードアップの道を走るウォーミングアップをしているようだ。一般市民の話では、来年はウサギ年なので、かなり落ち着いて、スムーズにいく、という話しをしている人もいる。そろそろ大晦日だが、来年の新たな進展をたのしみにしている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年12月27日