林国本
中国の国家体育総局訓練局は最近、ロンドン・オリンピックに向けての動員大会を北京で開催した。
肖天総局副局長は、スポーツ大国からスポーツ強国に向かう中で、中国はスポーツ種目をめぐってバランスとグレード・アップを考えなければならない、と語った。北京オリンピックでは、中国は51の金メダルを手中に収めた。しかし、国民の間で人気のあるサッカーはワールドカップ進出どころか、アジアでも二流チームと言われかねない状況にある。バスケットの戦績も思わしくないし、バレーも「かつての光今いずこ」の感がある。
かりにロンドン・オリンピックでよい成果をあげたとしても、サッカー、バスケット、バレーがこのていたらくなら、ファンの人たちから不満の声が沸き上がることになりかねない。とくに、テレビが普及している昨今のこと、衆人環視の中で自国チームが苦戦しているところを見せつけられると、短気なファンにとっては耐えられないことも分からないではない。オリンピックには参加して意義がある、と言われても、すべての庶民にそういう高い境地を求めることはムリである。
今回のワールドカップでは、日本のサッカーチームがアジア勢としてかなり頑張り、帰国後、総理官邸などでも歓迎され、皇室からの高い評価を得た。選手の中には故郷でも歓迎された人もいる。中国チームはワールドカップのヒノキ舞台に姿を現わすことはなかったが、ブブゼラなどは中国製品だ、というジョークが一時流れたこともあった。中国のサッカーファンの屈折した心理をこれからも読み取ることができる。