最近、ある雑誌で北京の順義第九中等学校元副校長の日本旅行記「私の目に映った日本と日本人」というものを読んだが、たいへん参考になった。大勢の人たちが日本へ行っているが、それぞれが自分たちのアングルから感想をつづっている。この元副校長の感想文は、比較社会学、比較文化人類学の視点みたいなものが感じられて参考になった。
昨年、知人の推薦で中国の大学生の日本語作文を採点させてもらったが、若者たちが日本のアニメや、村上春樹の作品に非常に興味を示していることに新鮮感を覚えはしたが、まだ、社会に出ていない若者たちのことだから、それほど深い掘り下げもないような感じも受けた。私なんかは、雑読で小森陽一氏の本を何冊か見ているし、スタジオ・ジブリについてもいろいろ本を見ているので、ミーハーの段階は卒業しているつもりでいるが、一介のジャーナリストとして違ったアングルから日本を見てもいる。つまり、関心の角度が違うわけだ。例えば、今回の民主党の代表選出についてもいろいろな人の発言をつぶさに聞いているが、一般の観光客にとっては、こういう演説よりも、興味は別のところにあるようだ。そういう意味で、この元副校長の旅行記は参考になった。私は数十年間日本と関連のある仕事をしてきたし、特派員として6年間も日本に滞在したのに気がつかなかったことにも触れているので、ははあ、こういうものの見方もあるのだと感心した。
日本旅行はだんだんと開放の幅を広げている。日本の観光事情に詳しい日本の業者も加わってくることになる、という記事も見た。距離的にこんなに近いところにあるのだから、日本に赴く観光客がもっと増えてもよいような気がする。