安倍晋三首相が4月末の訪米で検討している米議会演説について、第二次大戦に従軍した米退役軍人らの有力団体が上下両院に書簡を送り、戦時中の日本の過ちを安倍首相が明確に認めることを演説の条件とするよう要求した。日本メディアが19日に伝えた。
安倍首相の演説が実現しても、内容次第で米世論の厳しい批判にさらされる可能性が出てきた。
書簡を送ったのは、日本軍のフィリピン侵攻作戦で投降した米兵や遺族で組織する「全米バターン・コレヒドール防衛兵の会」。同会のジャン・トンプソン会長名で、上下両院の退役軍人委員会委員長らに送られた。
1942年にフィリピンのバターン半島で、日本軍は投降した米軍・フィリピン軍の捕虜を100キロ以上離れている収容所に連行した。その途中で、多くの人が栄養失調、日本軍の虐待により死亡した。これは「バターン死の行進」と呼ばれており、死亡者は約2万人とされている。
書簡は、安倍首相の米議会演説は、「日本の歴史的な責任を認める特別な機会だ」と強調した。安倍首相にはかつて、日本の指導者の戦争責任が追及された「東京裁判」の判決を否定するような言動があった。
演説が予定される下院本会議場で1941年12月、時のルーズベルト大統領が真珠湾奇襲の翌日に「屈辱の日」と演説したことを踏まえ、書簡は「日本は敗戦によりファシズムや犯罪的な体制から解放されたと安倍首相が認めることが確認された時のみ、ルーズベルト大統領と同じ演壇で演説するよう招くべきだ」と求めた。
書簡はまた日本に対し、「70年が経過した今でも道徳的義務を果たすべきだ。元捕虜は彼らの歴史が無視されたり、利用されたりすることを望まない」と訴えた。同協会のメンバーは昨年訪日した。「バターン死の行進」で連行された99歳の元捕虜らが、ケネディ駐日大使と面会した。
安倍首相の議会演説については、日本の首相として前例がない上下院の合同議会も有力だが、最終的にベイナー下院議長が決定する。
藤崎一郎駐米大使(当時)は2009年5月、「バターン行進の生存者」の退役軍人に謝罪した。岡田克也外相(当時)は2010年9月に6人の退役軍人と会談し、日本政府を代表し非人道的な行為について謝罪した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年3月19日