福島大学環境放射能研究所の青山道夫教授はこのほど、福島第一原発事故で放出された放射性汚染物質が海水を通じて東に拡散しており、今後1年で約800テラベクレルの放射性セシウム137が北米大陸の西海岸に到達するとの見方を示した。原発事故で放出されたセシウム137の総量の約5%に当たる。
米国の検査によると、北米大陸西海岸にすでに到達しているセシウム137の海水中の濃度は1リットル当たり1ベクレルから2ベクレルにすぎない。世界保健機関(WHO)は、飲料水中のセシウム137の濃度の基準値を1リットル当たり10ベクレル以下としている。青山教授はこれについて、「800テラベクレルすべてが到達したとしても濃度はそれほど上がらず、健康にはまったく影響しない」と説明している。
青山教授の研究によると、福島第一原発の事故によって、約3500テラベクレルのセシウム137が汚染水とともに海洋に放出された。また大気中に放出された後に海洋に落ちたセシウム137も1万2000テラベクレルから1万5000テラベクレルに達する。北太平洋一帯の海水のサンプル分析によると、セシウム137はゆっくりと東に移動している。
米国のウッズホール海洋研究所は4月上旬、カナダ西部の太平洋沿岸で2月に採取された海水からセシウム137とセシウム134が検出されたと発表した。セシウム134の半減期はわずか2年であるため、福島第一原発事故によるものと判断できるという。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年5月1日